ジョージ6世となるヨーク公ことバーティーの吃音克服の成長物語であり、
言語聴覚士のライオネルとの友情物語である。
物語としては大英帝国博覧会の閉会式でのスピーチの失敗から始まる。
その後、ライオネルとの出会いを通じ吃音の克服に向けて努力をしていくこととなる。
スピーチとしてはじめの山場は戴冠式。
こちらは四つの問いに答えるだけであるがライオネルの助けもありなんとか成功裏に終わる。
その際、ヒトラーの演説をスクリーンで見て「演説のうまい男だ」との感想を述べる。
この男のために戦争スピーチを多々行うことになるのだが。。。
クライマックスは九分のスピーチ。
戦争を告げるこれまでになく重大でボリュームのあるスピーチ内容であったが、
ライオネルのフォローもあり感動のスピーチとして全国民の心に伝わったのである。
友情ものとしても面白く、スピーチを行うときには私までハラハラドキドキで楽しめた。
スピーチをしたくなるモチベーションのあがる映画であった。
また、ラストのスピーチについて考えさせられるのが、
第二次世界大戦の開始を告げる大変な内容のスピーチだが、
英王室の関係者はスピーチがスムーズに行えたことで、祝福ムードになっていた。
皆で拍手をし「おめでとう」と言い合っているのである。
これまで首相が戦争回避にむけて動いていたなか、ついに戦争に突入信時代背景との差が大きい。
そんなのんきに喜んでいる場合かよ。とも思ってしまった。
まあ、英王室はほんとうにお飾りで実務に関わっていないからこその反応なのだと思う。
ジョージ6世自身、映画の中で「税収も、戦争をするかしないかも決めれない。うんぬん」といっていた場面もあったし。。。
ジョージ6世がボールドウィン首相からの報告書も分からないと泣いている場面があり、
この中にヒトラーのポーランド侵攻などの報告があったのだろうと思うと後から考えると皮肉な感がする。
全体としてはじめから最後まで興味深く楽しめる映画であった。
そして、登場人物の時代の中における役割を思うとさらに楽しめると思う。
奇しくも今NHKで放映している「おひさま」とも時代が同じである。
ちょうどおひさまも見ているだけに、世界の左右での生活を比較でき違った意味でも興味深かった。